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空蝉とアガペー

日記

 

 よかれと思って差し伸べた手を引っかかれたり噛まれたり。

 

 獣医さんの傷だらけの手を見るたびに、この人たちは報われないヒーローだよなあと思います。

 

 もちろん飼い主たる僕らは先生に感謝しますけど、うちの子(犬)なんてアホですからね。普段あんなにお世話になっているのに、先生の顔見ると超高速で震えだします。頭部に残像出ちゃってちょっとしたケルベロスです。かわいい!

 

 いや別に飼い主もアホという話をしたいわけではなく、獣医さんって自分が助けた動物に対して見返りは求めないのかなと。

 

 たとえば僕なら夏のアスファルトでひっくり返ったセミを起こした時に、語尾に「カナ」を付けちゃう女の子とのラブコメが始まることを期待します。

 

 高校生のくせに一人暮らしな僕のアパートにいきなり押しかけてきたミンミン(名前)。「おなか空いてるの? 食べなよ」って朝食の残りを出してあげたら、なぜかストローで味噌汁吸って舌ヤケド。そして始まるセミスウィートなドタバタコメディ。

 

 しかし、そんな楽しい夏も一週間で終りを迎えてしまいます。僕が脱衣所でセミの抜け殻を見つけてしまったから。

 

「実はわたし、あの時のセミなのカナ」

 

「ミンミン……(語尾のせいでなんかすっきりしないよ)」

 

「もうすぐお迎えがくるカナ。これがほんとのセミリタイア……カナ」

 

 思いのほかうまいこと言えて自分で笑っちゃってプルプル震えるミンミン。そんな彼女に手を伸ばし、僕は言うのです。

 

「セミベロス!」

 

 なんて診察の度に考えていたら仕事にならないので、獣医さんは本当に無償の愛で接しているんでしょうね。

 

 

 

 

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